薬剤師調査MMPR

Report : デキる管理薬剤師ラボ

掲載日:2016/11/25

デキる管理薬剤師への道(27) 業界ニュースコラム(12)

調剤工場実現なるか?!


 先日、日本経済新聞にて「クオール、在宅患者向け調剤拠点 宅配便で薬(2016年10月24日)」という記事が出されました。

この記事の内容について、実際には運用に誤りがあったとの別の報道がありましたが、興味深い内容なのでご紹介いたします。

日経記事には、大枠では以下のような内容が書かれております。

●調剤大手のクオールがヤマトと提携し、在宅患者向けに処方薬を届ける新たな仕組みを構築する

●店舗における調剤業務の一部を、専用拠点(調剤ハブ薬局)に集約する

●薬剤師の業務負担を軽減し、専用設備(クリーンルーム等)がない店舗でも重症の在宅患者の対応を可能にする


 そして仕組みは、以下のように記載されております。

①往診(医師→患者)

②処方せんを送付(医師→最寄りの薬局→調剤ハブ薬局)

③薬をヤマトの宅急便で送る(調剤ハブ薬局→(ヤマト)→患者)

④服薬指導に薬剤師が訪問(最寄りの薬局→患者)



「クオール、在宅患者向け調剤拠点 宅配便で薬(2016年10月24日日本経済新聞)」より作成


 私はこの日経記事を見て、ついに「調剤工場」がついにできるのでは?と感じました。

私の「調剤工場」のイメージは、薬の準備(監査含む)や在庫管理を完全にロボット等で自動化し、徹底的に人の作業を排除したものをイメージしています。

通販サイトのAmazonのサービスで、一部のエリアに限って、注文したものが1~2時間で届くというサービス(Prime Now)があるのはご存じでしょうか。

このサービスは受発注のシステムや発送作業のロボットなど先進技術を活用し、徹底した効率化の下で成り立っているサービスです。

調剤は単純にモノを揃えるだけではないため同様に比較できませんが、処方せん応需後当日中に患者宅に薬を届けることは技術的には十分対応可能であると考えられるでしょう。

記事の運用が法的に問題が無ければ、午前中に「調剤工場」に薬を注文すれば、夕方には患者の自宅に薬が届いて、同じタイミングに訪問して服薬指導ができるといった時代が来てもおかしくはありません。

ただ、このような「調剤工場」を作る上で、そもそも調剤する数が、相当数あることが大前提です。

Amazonにおいても、そもそもの注文数のボリュームがあるからこそ、効率化を目的とした大規模な設備投資できるわけです。

 しかし冒頭でも記載したとおり、日経記事内容と実際の運用とは異なるようで、記事を見た厚労省の役人から問い合わせがあり、クオールより説明があったと報道されております。

実際の仕組みは、以下の流れのようです。


①往診(医師→患者)

②処方せんの送付(医師→調剤ハブ薬局)

③薬をヤマトの宅急便で送る(調剤ハブ薬局→(ヤマト)→患者)

④服薬指導に薬剤師が訪問(調剤ハブ薬局→患者)

⑤緊急時の対応(最寄り薬局→患者)



「クオール 「調剤ハブ」での処方箋応需、近隣店舗介さず 日経記事の「混乱」受けて説明」(2016年11月2日 Pharmacy Newsbreak)より作成

 ようするに、特定のエリアの在宅患者を「調剤ハブ薬局」一箇所に固め、在宅医療を強化した薬局を作るという話です。

私が当初イメージしていた「調剤工場」とは、まるで規模感が異なります。

結局、その「調剤ハブ薬局」に所属する薬剤師の訪問が必要であるため、現実的に訪問可能な距離の患者しか対応できません。

今回論点になったのは、「処方せんを応需した店舗以外で薬を準備する」という点でしょう。

昨年10月に出された「患者のための薬局ビジョン」で示されているように、対物業務から対人業務へのシフトが求められております。

対物業務の最たるものが、薬の準備や在庫管理になりますから、長期的に前述の「調剤工場」実現可能性はゼロではないと感じます。

ただ現状の制度では、NGというのが厚労省の見解でしょう。

今後の動向が気になるところです。

 (株式会社ネグジット総研 経営コンサルティング部 津留隆幸)

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