調剤報酬の影響 ~施設基準届出受理状況 全国データが出揃う~
6月9日に全国の厚生局の受理状況のデータが公開されましたので、今号では、全国の施設基準届出受理状況をご紹介いたします。
データは各届出種別に都道府県トップ5・ワースト5と、総届出薬局数トップ5のデータを取りまとめております。
【調剤基本料2・3】 地方都市の影響大!?
まずは、「調剤基本料」の状況を見てまいります。
全国合計としては、「基本料2」は3.3%、「基本料3」は6.4%となっております。
改定前における基本料特例に該当する薬局は3%未満であったため、いわゆる特例である基本料2と3合算すると9.7%と3倍超に膨れあがっております。
では、基本料1・2それぞれの傾向を見て参ります。
「基本料2」においては、青森の9.3%から鳥取の0.7%の結果になり、愛知県を除いて大都市部の受理率が低い傾向にあります。
集中率90%超のハードルは、地方の薬局において大打撃であると予想されていた結果が、数字としても表れました。
「基本料3」においては、栃木県の19.6%から大分県の1.5%の結果になり、基本料2と同じく神奈川、大阪、東京においては受理率が低い結果でした。
これは、医療機関の絶対数が多い大都市部において、集中率95%超の要件に当てはまりにくく、有利に働いたのでは無いかと考えられます。
【かかりつけ薬剤師指導料】 県レベルで受理状況に大きな差が・・・
【基準調剤加算】 在宅の取組みの影響大?
では、「基準調剤加算」の状況を見てまいります。
結果は、奈良県の39.7%から沖縄県の2.6%と幅がある結果になっております。
これは、前述の「かかりつけ薬剤師指導料」の届出状況に幅があったことから、その影響で上位と下位の幅があったのではと予想されます。
「かかりつけ薬剤師指導料」との受理率上位と差異があるのは、在宅の実績が影響しているものであると考えられます。
在宅実績が年10回超を要件としている「在宅患者調剤加算」は、関西エリアでの受理率が高く、同エリアでは「基準調剤加算」も同様に高いことから在宅実績の影響が推察されます。
【後発医薬品調剤体制加算】 全国約20%が加算取得減少へ
最後に、「後発医薬品調剤体制」の状況を見てまいります。
加算1と加算2の合算で見てみると、全国では50.7%、沖縄県の82.5%から徳島県の30.3%と幅がある結果になりました。
改定前の「最近の調剤医療費(電算処理分)の動向(平成28年1月号)」の数字では、加算1:23.6%、加算2:47%、両者合算すると70.6%の届出がありました。
そのため、改定前後を比べると、加算2は28.2ポイント減、加算1と2の合算では19.9ポイント減と大幅に割合が下がっております。
このように、各種届出状況を見てまいりましたが、全体の傾向としては予想通りマイナス影響となった薬局が多数あり、また地域によっても大きく開きのある結果となっております。
ここまで地域差があると、一律の報酬体系で評価することに無理を感じざるを得ません。
今後は地域状況を配慮した報酬体系を検討することが必要ではないでしょうか。
次回以降の改定動向が気になるところです。
((株)ネグジット総研 経営コンサルティング部 津留隆幸)
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