薬剤師調査MMPR

Report : 薬剤師3分トピックス

掲載日:2018/07/24

〔特集〕自社(自店)の進むべき方向性と現状のギャップを確認





 保険薬局の基本的機能の変化として、地方厚生局の「施設基準の届出受理状況[2~9]」を見ていきます。図1~3は、2018年6月8日現在で公開されているデータを改定前後で集計したものです(改定前後に存在する56,366施設を有効データとして集計)。まず、調剤基本料(図1)において、基本料1を届出している薬局の割合が、改定前91.3%(図1㋐)が改定後84.2%(図1㋑)になり、7.1ポイント減少しました。詳細内訳では、改定前に調剤基本料1を届出していた薬局のうち、3.4%が改定後に調剤基本料3・イに変更(図1㋒)、同様に3.3%が調剤基本料3・ロに変更(図1㋓)になりました。



 次に、基準調剤加算および地域支援体制加算の状況を見ると(図2)、届出ありの割合が、28.8%(図2㋐)から25.1%(図2㋑)になり、3.7ポイント減少しています。改定前に基準調剤を届出していた薬局で改定後に地域支援体制加算を届出していない薬局が全体の6.0%(図2㋒)で、これは改定前に基準調剤の届出薬局のうち、20.8%(㋒/㋐)の薬局が地域支援体制加算を届出できていないことになります。




 最後に、後発医薬品調剤体制加算を見てみると(図3)、加算1以上を届出している割合は、改定前69.8%(図3㋐)が改定後54.1%(図3㋑)になり、15.7ポイント減少しています。その内訳を見てみると、改定前に加算1(後発医薬品使用割合65%以上)を届出していた薬局のうち、改定後の同加算の要件(後発医薬品使用割合75%以上)を満たせなかった薬局が15.7%(図3㋒)ある一方で、改定後に加算3(後発医薬品使用割合85%以上)を満たした薬局が13.6%ありました。改定前後で届出状況が変化した薬局は42.0%ありました(100%-(29.5%+11.0%+17.5%))厚生局の届出状況から、3項目について基本的機能の変化をみましたが、調剤基本料1に該当する薬局は減少したものの全体84.2%と依然多くを占めます。地域支援体制加算の施設基準を満たす薬局は全体の25.1%で、後発医薬品調剤体制加算については加算1以上の届出薬局が減少し、保険薬局の基本的機能の期待値と現状にギャップがあるようです。





 実際の取り組みでの変化はあったのでしょうか? 「基本方針」(期待値)に対しての変化を見てみました。
 前号につづき、株式会社ネグジット総研(本社・兵庫県神戸市)では、「基本方針」の内容を踏まえ、調剤報酬改定後の現状、課題に関するアンケート調査(以下、本調査)を実施しました(図4)。対象は、保険薬局に勤務されている全国の管理者(管理薬剤師含む)128名です。



 図5は、「基本方針」の視点に基づいて、薬剤師調査MMPRが設定した前号と同じキーワード(薬局への期待)別に、「増えた」と回答した人の割合です。
 改定後、「取り組みの量や質」が増えた項目は、上位から「後発医薬品の使用促進」(85%)、「重複投薬の防止(残薬調整含む)」(72%)、「服薬情報の一元的・継続的な把握」(60%)の順でした。一方で、「ICT(IT)等の新たな技術の導入」(16%)、「かかりつけ薬剤師による在宅対応」(17%)、「長時間労働の是正等、働き方改革の取組」(17%)、「薬局スタッフの柔軟な働き方ができる環境整備」(18%)は、まだ量や質の変化が少ない結果でした。投資や環境整備が伴う項目で、管理者層ではなく、経営者層で取り組まれていることが一因かも知れません。
 いずれにしても、「基本方針」に対する「取り組みの量や質」の変化でもギャップの大きな項目があります。緊急ではないかもしれませんが、長期的な視点では重要な取り組みです。自社(自店)の優先順位が妥当かを話合ってみてはどうでしょうか?



 今回の改定で新設された地域支援体制加算では「地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績の基準」として、1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有することが要件となりました(調剤基本料1を算定している保険薬局を除く)。

 (1) 夜間・休日等の対応実績  400回
 (2) 麻薬指導管理加算の実績  10回
 (3) 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40回
 (4) かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回
 (5) 外来服薬支援料の実績  12回
 (6) 服用薬剤調整支援料の実績  1回
 (7) 単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績  12回
 (8) 服薬情報等提供料の実績  60回

 前述のとおり、薬局全体の約84%は、調剤基本料1を算定している薬局ですので、この8項目の実績が地域支援体制加算の要件にはなりません。しかし、薬局に対する利害関係者からの期待事項を定量的に表す指標ともいえます。そのため、地域支援体制加算の算定要件の有無に関
わらず、全ての薬局が算定状況を把握、取り組むことが重要ではないでしょうか。
 図6は、8項目の中から、残薬、重複・多剤投薬の防止に関わる主な4項目(上記赤字部分)について算定状況を調査した結果です(4月1日から5月末までの2ヶ月間の実績)。
 「重複投薬・相互作用等防止加算等の算定回数」は、残薬の場合、残薬以外の場合ともに、「全く無し」は4%であり、9割を超える薬局で算定実績がありました。残薬とそうでない場合を比較すると、残薬以外の場合の算定実績は少ない傾向にありました。「全くなし」と回答した割合でみると、「服薬情報等提供料 算定回数」(45%)、「外来服薬支援料 算定回数」(71%)、「服用薬剤調整支援料 算定回数」(80%)でした。対象となる患者数に違いはあるものの、算定実績が少ない傾向にありました。
 これらの算定における課題として「どのような形ですればいいのかよくわからない」といった制度や手順そのものの情報不足、「加算に対しての患者理解」といった負担金に見合ったサービスをしているという自信不足、「もっと医師との関わり合いが必要と思う」など医療機関との関係に関する意見がありました。特に、患者の服薬状況を医師や多職種と共有するうえで、患者や医療機関とのコミュニケーションや認識のずれを課題に感じている声が数多くありました。





 地域支援体制加算では、施設基準として「当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。」[10]が明示されました。これは、主に行政から薬局・薬剤師への期待と捉えることができます。図7は、この施設基準に関して、改定に係る経過措置になった3項目の作成・対応状況を調査した結果です。
 2018年9月30日までが作成期限になっている「副作用報告に係る手順書の作成、報告実施体制」では、「既に作成・対応出来ている」(23%)で、「現在、具体的に作成・対応中である」(13%)を含めても約3割でした。2019年3月31日まで適用しないことになっている残り2項目についても、同様の状況でした。対応ができていない要因について「具体的にどうやったらいいかまだ把握、整理できていない」「時間と人員が不足している」「ヒヤリ・ハット事例報告は書くのが難しい」といった意見などが散見されました。
 今回の改定は、従来と比較し、定量的な結果など目に見える成果が求められた内容だったと言えます。定量的にみることは、決してノルマではなく、患者さんの血圧管理で数値を確認することと同様に、現状を的確に把握し、問題の早期発見、原因の分析、効果の確認のための指標として活用することが必要ではないでしょうか?
 今号が、自社(自店)の進むべき方向性と、現状のギャップを確認し、改善の機会になれば幸いです。



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