薬剤師調査MMPR

Report : 薬剤師3分トピックス

掲載日:2017/12/08

〔特集〕2018年調剤報酬改定に向けて





次回改定について言及するにあたって、まず前回の2016年調剤報酬改定(以下、前回改定)からおさらいです。前回改定は、保険薬局にとっては大きな変化を求められた改定であったでしょう。特にインパクトの大きかった改定項目を振り返ります。

まずは「調剤基本料の再編成」です。調剤基本料が新たに1~5まで設定され、「3」においては、同一法人グループ内で受付回数月4万回超といった新たな視点の基準が盛り込まれました。店舗数が大きいグループ薬局では、相当数の薬局が調剤基本料3になり、マイナス影響を余儀なくされました。

 次に「基準調剤加算の厳格化」です。これまで2種類あった加算(旧加算1:12点、旧加算2:36点)が新加算(32点)に一本化されました。一本化に際して、新たに「在宅業務の実績」等の要件が加わった影響で、少ない人数で運営している小規模薬局にとって苦しい改定になりました。一方、旧加算1からは、点数が20点増加したため、プラスに働いた薬局もあったのではないでしょうか。

 最後に、「かかりつけ薬剤師指導料」です。この点数が新設され、「かかりつけ薬剤師の届出」が基準調剤加算の施設基準要件にも盛り込まれました。かかりつけ薬剤師届出にあたって、勤務経験、地域活動の参画状況、認定薬剤師の取得状況等の人員に関する要件がネックとなり対応に追われた薬局は少なくありません。

 これらは共通して「患者のための薬局ビジョン(以下、薬局ビジョン)」に沿った改定内容であったと言えます。薬局ビジョンでは、基本的な考え方として「立地から機能へ」「対物業務から対人業務へ」「バラバラから1つへ」の3点が示されています。図1のように、前回改定内容をこの3つの視点に落とし込むと、そのほとんどが、基本的な考えに沿ったものであったと見て取れます。




 今年8月9日の中央社会保険医療協議会資料では、「患者本位の医薬分業を実現するために、前回の診療報酬改定の影響を検証した上で、累次にわたる調剤報酬の抜本的見直しを継続する」と明確に書かれております。つまり、前回改定は上記の「累次にわたる改定」の第一歩であって、次回改定も薬局ビジョンに沿った内容であることは容易に想像できます。




薬局ビジョンには、「かかりつけ薬剤師・薬局の普及を目指した新たな指標(KPI: Key Performance Indicator)を設定し、政策評価を実施していく」とあります。その定義付けの一つである「かかりつけ薬剤師としての役割を発揮できる薬剤師を配置している薬局数」では、より具体的な指標案が2017年3月に厚生労働省から示されました。(図2)「評価する項目(以下、KPI)」として示されている情報を収集するために、薬局機能情報提供制度の項目の拡充が予定されています。




 KPIはあくまでも政府が持つ評価指標のひとつです。しかし、視点を変えると政府が薬局に期待している点として捉えることもできます。薬局がこのような医療政策の方向性を理解した上で、能動的に「患者のための」取組みを行っていくことが求められています。結果として、これらの薬局の取組みが診療報酬上の評価につながる可能性は十分にありうると考えられます。自店・自社の状況と照らし合わせて、KPIを満たしていない項目を重点課題として捉えるのも良いでしょう。



株式会社ネグジット総研(本社・兵庫県神戸市)では、保険薬局に勤務されている全国の管理薬剤師の方100名を対象に、KPIの内容に沿って現状の取組状況をアンケート調査(以下、本調査)しました。(図3)




KPIはこれから政府で評価していく指標のため、あくまでも現在の状況として捉えてください。(図4)




最初に電子薬歴の導入状況について見ると、「導入している」という回答が65%でした。一方、電子お薬手帳については、「導入している」が31%でした。同じICTの導入でも、電子薬歴に比べて電子お薬手帳の導入があまり進んでいないことが見て取れます。両者の間に差があるのは、そもそも主な導入目的が異なるからです。電子薬歴は「情報管理コストの改善」が導入の主目的で、電子お薬手帳は「患者満足度の向上」が導入の主目的になります。そのため、電子お薬手帳を導入する際には、費用や手間に対してどれだけ利用者がいるかが判断の基準になります。現在は、比較的安価に提供しているものもあるので、1度導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 次に、医師への服薬情報等の文書提供回数と在宅業務の実施回数については、「0回」と回答されている方がどちらも40%程度でした。実施している薬局の方が多い状況ではありますが、政府としてはさらに伸ばしたいと考えているでしょう。一方、どちらも「51回以上」と回答されている方も少なからずおり、かなり進んでいる薬局とそうでない薬局と二極化している様子が見て取れます。


 健康サポート薬局の研修受講状況については、「修了した」という回答が41%でした。2016年10月より届出スタートの際には、都道府県の薬剤師会が実施する研修に参加者が殺到したことで業界紙等に多数取り上げられました。あれから、薬剤師会以外でも研修実施ができる機関が増え、一時期の希望通りには参加できないという状況から改善しつつあると聞きます。まだ修了していない方は、受講検討してみてはいかがでしょう。


 最後に、多職種連携を目的とした会議の参加に関して、「参加したことがない」が52%でした。これは、そもそも地域で会議が実施されていないというケースもあるため、一概に薬局が取り組めていないとは言えません。一方、他の職種からは在宅現場で薬局・薬剤師ができることが何かよく分からないという声を耳にします。薬局・薬剤師が関わることでどのようなメリットがあるのかを会議の場で積極的に訴えることができれば、自薬局の認知に繋がり、新たな在宅業務獲得に繋がるケースも出てくるでしょう。


 本号で紹介したKPIは、今後政府が継続的に把握をしながら見直しを進めて行く指標です。しかし、2025年にはすべての薬局がかかりつけ薬局になるというビジョンを考えると、大きく方向性が変わることはないと考えられ、これからの変化を見据えて地域や患者さんに必要とされる活動を少しずつでも進めておくことが重要でしょう。一歩ずつ今できることから着実に取り組んではいかがでしょうか。


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