薬剤師調査MMPR

Report : 薬剤師3分トピックス

掲載日:2017/08/28

〔特集〕「かかりつけ薬剤師に関する調査」分析結果




・調査方法:インターネット調査

・調査時期:2017年6月

・回答者:1ヵ月に1回以上定期的に薬局を利用し、かつ、かかりつけ薬剤師を持っていると回答した人100人(全国)

・回答者の属性:
 性別 男性64 人、女性36人
 年齢 20代6人、30代16人、40代29人、50代27人、60代22人




【算定要件】

①患者が選択した保険薬剤師が患者の同意を得た上で、同意を得た後の次の来局時以降に算定できる。
②同意については、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、その旨を薬剤服用歴に記載する。
③患者1人に対して1人の保険薬剤師のみが、かかりつけ薬剤師指導料を算定できる。かかりつけ薬剤師以外の保険薬剤師が指導等を行った場合は当該指導料を算定できない(要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料は算定できる)。
④手帳等にかかりつけ薬剤師の氏名、勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を記載する。
⑤担当患者に対して以下の業務を実施すること。
 ア 薬剤服用歴管理指導料に係る業務
 イ 患者が受診している全ての保険医療機関、服用薬等の情報を把握
 ウ 担当患者から24時間相談に応じる体制をとり、患者に開局時間外の連絡先を伝え、勤務表を交付(やむを得ない場合は当該薬局の別の薬剤師でも可)
 エ 調剤後も患者の服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案
 オ 必要に応じて患家を訪問して服用薬の整理等を実施


【施設基準】

以下の要件を全て満たす保険薬剤師を配置していること。
 (1)以下の経験等を全て満たしていること。
  ア 施設基準の届出時点において、保険薬剤師として3 年以上の薬局勤務経験があること。
  イ 当該保険薬局に週32時間以上勤務していること。
  ウ 施設基準の届出時点において、当該保険薬局に6月以上在籍していること。
 (2)薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること
(当該規定は、平成29年4月1日から施行)。
 (3)医療に係る地域活動の取組に参画していること。
(出展:厚生労働省「平成28年度調剤報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要」P18かかりつけ薬剤師の評価①)




1.同意した時の状況

 回答者は、新設された「かかりつけ薬剤師指導料」に同意・承諾した人たちですが、どのような状況で同意・承諾したのでしょうか。図1をみると、「積極的に同意・承諾した」人が42人、「なんとなく同意・承諾した」人が44人、「断りたかったが、仕方なく同意・承諾した」人が2 人などで、「積極的に」と「なんとなく」の両者が半々でした。




2.積極的に同意した理由

積極的に同意した人には、どのような理由があったのでしょうか。その薬剤師を選んだ理由を聞いたところ(図2-1)、「情報提供・薬の説明がわかりやすい」「親身になってくれる」をあげた人が多いことがわかります。なんとなく同意した人では「特に理由がない」が多く、両者を比較すると大きな違いがあります。

 積極的に同意した人と、なんとなく同意した人とでは、利用する薬局の選び方に違いはあるのでしょうか。図2-2は、その薬局を選んだ理由です。「医院・病院に近い」をあげる人が最も多く、2 番目に多いのは積極的に同意した人では「薬局・待合室の雰囲気が良い」でした。






3.薬剤師の名前は覚えているのか

  かかりつけの医師を持っている人は、自分のかかりつけは「〇〇先生」と医師の名前まで答えられる人がほとんどです。本調査では、かかりつけ薬剤師の名前を「覚えている」と答えた人は100人中42人であり、「覚えていない」人のほうが多いという結果になりました。しかし、積極的に同意した人だけを抽出すると、「覚えている」と答えた人は6 割超に達しています(図3)。

 この人に自分のかかりつけの薬剤師になってほしいと思ったときには、自然と名前を覚えてしまうものではないでしょうか。一方で、薬局では利用のたびに対応する薬剤師が変わることもありますが、この人が良いと思ったときに、名前をその場で記憶するするきっかけがあまりないのかもしれません。6年制薬学教育では、薬剤師から自己紹介することを全学生が学習するので、卒業後も薬局の店頭でそれを活かしていかなければなりません。薬剤師がきちんと名前を伝えることや、店舗の中に名前が確認できるような掲示をすることが、積極的な同意に結びついていくかもしれません。




4.かかりつけの機能は伝わっているか 

 かかりつけ薬剤師が担当患者に対して実施しなければならない業務は、表1の算定要件⑤に掲げられています。これらの業務を受けたと患者は認識しているのでしょうか。図4は、経験したと回答した人の割合を示しています。経験者が半数を超えた項目は「わかりやすい飲み方、薬の説明を受けた」であり、かかりつけ薬剤師の算定要件として注目された「全ての医療機関の情報の一元管理」は4分の1程度、「他の薬局で薬をもらった場合の情報管理」「24時間相談できる連絡先の伝達」はさらに認識している人が少ないのが実態です。

 かかりつけ薬剤師に同意したからといって、その前後で受けるサービスそのものには大きな違いがないのは当然かもしれませんが、かかりつけ薬局の機能のうち“重要なことが患者に伝わっていない”ことには十分留意する必要があります。





5.患者にもたらされた変化とは?

 図5は、かかりつけ薬剤師を利用・体験したことで変化したと回答した人の割合を示しています。「丁寧な薬の説明、服用方法を教えてもらい、飲み忘れ、飲み残しが減った」と回答した人が約4 割と最も多く、「気になる症状を相談し受診を勧めてくれた(医療機関も紹介してくれた)」と「かかりつけ薬剤師とコミュニケーションを取ることで、健康全般に関して安心できるようになった」も約2割を占めました。かかりつけ薬剤師を持ったことで変化を実感した人が一定数いることが示されたといえます。現状では、かかりつけの機能が患者に十分伝わっていない可能性がありますが(図4)、この先末永くかかりつけ薬剤師と接していくことで、より多くの患者の気持や行動に変化がもたらされるかもしれません。






● メリットを理解してもらうことが大切

 「かかりつけ薬剤師指導料」及び「かかりつけ薬剤師包括管理料」の算定には、患者さんにきちんと説明をした上で署名による同意を得ることが求められています。同意した人100 人を対象とした調査結果からは、積極的に同意した人と、なんとなく同意した人とでは、薬剤師や薬局を選ぶ理由に違いがありました。なんとなく同意した人では、“特に理由がない”や“待ち時間が少ない”を理由にあげる人が多い傾向がありましたが、これは、かかりつけ薬剤師の機能や意義が十分伝わっていないからなのかもしれません。かかりつけ薬剤師の機能や意義を、患者さんが自分のメリットと感じることが大切です。「だから、かかりつけ薬剤師を持つと良いのね」と納得してもらえるような薬剤師からの説明や声かけが大事なのかもしれません。


● 日頃からかかりつけ機能を意識した関わりが重要

 かかりつけ薬剤師を利用、体験したこととして、“飲み忘れ・飲み残しが減った”、“気になる症状を相談した”、“安心できるようになった”などが上位にあげられていることから、メリットを実際に感じている患者さんが一定数いることがわかりました。しかし、“すべての医療機関の情報の把握、服用している処方薬・一般用医薬品・健康食品の記録・管理”、“24 時間相談・電話できる連絡先の教示”、“調剤後の状況の把握”などを経験したと回答した人は多いとはいえない状況でした。
 わかりやすい説明や対応が良いことは、薬剤師が患者さんと信頼関係を構築するための重要な要素です。しかし、それだけではかかりつけ薬剤師の機能を果たすことはできません。利用する全ての医療機関情報や使用・服用している薬を把握しなければ機能が十分果たせないことを、薬剤師がしっかりと認識することが大切です。患者さんから情報を収集し、それを評価してフィードバックするという流れを繰り返すことで、薬剤師に情報を伝える意義が患者さんにも伝わります。


● 薬剤師としての「やりがい」が生まれる環境

 保険薬局の薬剤師は、「かかりつけ薬剤師指導料」の新設を喜ばしく感じているのでしょうか?算定要件が設定され負担が大きいと感じる人がいるかもしれません。しかし、算定の有無とは関係なく、薬剤師として患者にもっと関わりたいと考えている人は多いはず。患者から信頼され、名前を覚えてもらい、感謝されるといった経験は、やりがいにつながります。
 薬剤師の仕事を続けるのなら、やりがいを感じながら続けたいものです。患者さんに関わっていくことで、「来局者」が「私の患者さん」に変わっていく。そして、「私の患者さんであるあなたを支援したい」というメッセージを伝えていくことで、患者さんに「私の薬剤師」という気持ちが芽生えるのではないでしょうか。薬剤師として気になる患者さんにきちんと向き合う機会や環境を作ることが大切といえます。


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